天才催眠術師荻田繁男との飲酒検問解除の思い出!

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初めて飲んだ日のことだった。

最初料亭で食事をし始めたのがすでに午後9時半を回っていた。

気が付くと鯛の活造りや高そうな料理がたくさん運ばれて来た。

私は、あっ気に取られて・・
「あの~・・今日、何かのお祝いなんですか?」

「はい!そうです!とても大事なお祝いなんです!」

「えっ?・・じゃあ部外者の私なんかが同席してもいいんですか?」

私のその問いに、荻田は、わずかに微笑みながら首を横に振って

「いえいえ・・今日は、私と大滝先生が初めて杯(さかずき)を交わすという・・・私の人生でも指折りのお祝いの日なんです・・」

「・・?・・えっ?・・私がお祝いなんですか・・?」

「はい・・先生のお口に合うかどうか確かめもせずに勝手に注文してしまいましたが・・お嫌いですか?」

「いいえ~とんでもない!大好物です・・」

「それを聞いて安心しました。どうぞ、まず先生が箸を付けて下さい。ここに有る物はすべて、先生が箸を付けないうちは誰も手を出しませんので・・」

「はあ・・・そうですか・・・では、遠慮なく・・」

荻田は、箸(はし)を伸ばし活造(いきづく)りを口に運ぶ私を嬉しそうに見ながら

「この後には、スナックが控えております・・・今日は、とことんお付き合い下さい」

と言って深々と頭を下げた。

元々の始まりが遅かったので2件目のスナックに到着した時には、十二時を回っていた。しばらく飲んで時計が1時45分を過ぎた頃、荻田の携帯に電話が入った。荻田は、その電話が終わると私の方に手を伸ばし握手を求めてきた。

何気なく私も手を出し握手を交わすと

「おめでとう御座います。今、連絡があって、神奈川県の全飲酒検問は1時40分をもって終了しました・・・先生は、自分で事故を起こさない限り安全に帰れます・・」
と言った。

その時は、拳法の弟子にたくさんの警官がいる事など知りえなかったので、何でそんな情報が入ってくるの?・・と思いながら

「はあ・・そうですか」

という気の抜けた返事を返してしまった。

荻田は、そんな事を気にもせず焼酎のボトルを差し出し
「では、今日は、とことん参りましょう!」
と言った。

いくら検問が無いとはいえ出す方も出す方なら「はいはい」と二つ返事で受ける方も受ける方である。

その日は朝方までゆっくり飲んだ!

体育会の乗りで朝まで飲むのも久しぶりの事だった。
帰る時には、すっかり明るくなっていた。

飲酒運転はマズイけれど今となっては、とても懐かしい思い出である。
 
 
 
 
 
 
 





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