2014/08/23
JR大口駅前の居酒屋での事でした。
その日私たちは厨房の入り口に近いカウンター席に陣取りメニューを手に取りました。
厨房からトレイにおしぼりと小皿と箸を乗せて大学生くらいの気の利かなそうな男の店員がやって来ました。
今までに見かけない顔でした。
私はチラ見して「（新人だな）」と心で思って再びメニューに視線を戻しましたた。
荻田繁男は渡されたおしぼりで手を拭きながら徐(おもむろ)に店員を見上げながら声をかけました。
「彼・・気持ちいいですね～！」
店員は「？？？（何が気持ちいの）？？？」
と言わんばかりのキョトン顔で立ちすくんでいました。
そこに荻田繁男の言葉が届きました・・
「友達多いでしょう・・！」
「（ああ・・そういう意味か～！）」
と混乱していた頭がスッキリした様にニッコリ微笑んだ店員は嬉しそうに
「ハイ！」
と答えました。
「そうだろうな！実に爽やかだもんな・・！」
と厨房の方に帰る店員の後姿に呟くように発した荻田繁男の声が追い討ちをかけました。
店員が厨房に消えた後「やりましたね～！」と私は荻田繁男の方を向くと、いたずらっ子の様な笑みを浮かべながら
「これで、今日、奴はよく動きますよ～！」
と呟きました。
私はニッコリと笑いながら
「そうでしょうね！」
と答えました。
事実、その日のその店員はとてもよく働きました。
アイスボックスの氷が無くなりそうになった時に、グラスを顔の前に持ち上げてカランカランと鳴らすと、厨房の入り口に見えなかった彼の顔が横からヌ～ッと現れ、微笑みながら軽くうなづき、ほどなくして新しいアイスボックスを持って現れました・・・。
まさしく完全催眠でした。
明日は、この続きと、表面に現れず人を誘導する完全催眠の解説をも致します。
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